冬至の日12月22日が、2022年のエコール・クレーム・エ・メティエのレッスンの最終日でした。
ご参加くださったみなさま、ありがとうございました。
ほとんどの回が1対1のプライベートレッスンになり、
中には将来的にお菓子をご自身のナリワイにしたい、と考えておられる方もいたので、
もしかしたら、的外れかもしれませんが、プロになるってどういうことなのかを、
ちょっと書いてみたいと思います。
あくまでも私の意見なので、それじゃないんだよ、、、ってなったら、ごめんなさい。
エコール・クレーム・エ・メティエのレッスンを受けたら、パティシエになれますか?
答えは半分イエス、半分ノーです。
高知土佐山でやっていた3か月レッスンを受けた面々は、
自分でお菓子を作ることをナリワイとしていきたい!という目標があった方々なので、
3か月、週に5日、通ってくださって、その夢を叶えることができたのだと思います。
詳しくは当サイトの卒業生の声 voiceをご覧ください。https://www.cremeetmetier.com/voices
じゃあ、イエスと答えておけばいい話だけれど、
シンデレラは王子さまとゴールインして、幸せになりました.。と言うお話は、
そのあとの物語を優に想像できますよね。そう、パティスリーはオープンして、むしろそこからが始まりです。
そのむかし、私が東京でパティスリーをやっていたとき、以前私のところに見学にみえた方で、ケーキ屋さんを関東でオープンして半年くらい経った頃に、彼女から電話があって、
半年経って、お客さまの数が減ってしまって・・・という類のことを10分くらいうかがったでしょうか。
一気に私に、現状を吐き出した彼女が、突然黙り、私もどう言っていいかわからず、長い沈黙が続きました。
長いと言っても、たぶん30秒くらいだったのかもしれませんが、その沈黙に耐え切れなくなって、
「あの、私そろそろ・・・」と切り出したら、
彼女は絞り出すような声で、
「どうやって、加藤さんは今やっておられるお仕事をもらったんですか?」
「私だって、やろうと思えばできるんです!」と言われました。
本当にあのとき、私は彼女にどう答えてあげればよかったのか、未だにわからないままで、もう10年以上前のことで、名前も覚えてないのに、ふっとあのときのことを思い出すことがあります。
どんな仕事でもそうだと思いますが、お菓子を作ることに誠実であればあるほど、
どんどん仕事は増えていき、お菓子を作ること以外に、製品の包装、材料の調達、発注、原価計算、販売、SNSでの宣伝、様々なことで時間はいつも足りません。
もっときれいな写真を撮っておきたいけど、もう時間がない。
もっと時間をかけてすべてのことに取り組みたいけど、もうへとへとだ。
必死で準備したのに、お客さんが少ない。どうして?なにが悪い?
お菓子を作って、いろんな人に食べてもらいたい。その夢をかなえた人たちは、本当にいろんなことを越えて、ひとつひとつのお菓子を販売するに至っています。
私はいつも、そんな彼女たちに、あまり無理はしないでほしい、という思いと、ひとつひとつのお菓子をできるだけ良い状態でお客さまに食べていただいてほしい、という矛盾に満ちた感情を向けてしまいます。
良い状態で食べていただく、当たり前のことなのに、これがなかなかハードルが高いことで、美味しいケーキと、食べられるケーキとは、同義語だとは思いません。
たまに、お客様にいろいろなご意見をいただいて、凹んで悲しくなったりすることもあるようで、それが理不尽だと思うときもあれば、お客様のご意見は最もだと思うときもあり、
聞いていると私まで、胸が痛くなることもしばしばです。
売上だって、いい時と悪い時があるし、天候にも左右されるし、本当に山あり谷ありです。
それでも続けていけるのは、我々はお菓子を作る喜びを知っていて、美味しいフランス菓子を作ってお客様に提供できている、というプライドを持って日々、頑張っているからだと思います。
本日、2022年12月23日、四国地方を襲った大雪。
明日のクリスマスイブに、たくさんのクリスマスケーキを準備していた彼女たちは、きっと今、この瞬間も泣きたい気持ちを堪えて、準備をしていると思います。
インスタグラムで、ル・プチグーテ、イデー・ブランシュともに、24日のクリスマスケーキの日程変更、キャンセルに対応する、とアップしていたのを読んで、本当に胸が痛みますが、ご予約くださったみなさまも、どうか無理してケーキを取りに行かないでください。
ケーキは人を幸せにすることができる最高の食べ物です。
クリスマスはまた来年もお祝いできます。
その時はどうか、また気持ちのこもった、彼女たちのケーキでお祝いしてあげてください。ケーキを悲しい食べ物にしないでください。
話がまた、ぶれてきてしまいましたが、プロになるって、いろんな覚悟がいるよね、というお話でした。
では1年、お疲れさまでした。
メリークリスマス!よいクリスマスを!
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